冷却スプレーをシンナーのように吸う女|マレーシアにて

冷却スプレーとHと。ペタリン・ジャヤ

「世の中には色々な人がいるもんだ。」良い語呂合わせだ。声に出して言って欲しい。

マレーシアでは、Books&Bedsというゲストハウスに泊まった。Books&Beds。これまた良い響き。

そこで出会った女の子が、実にユニークだった。その話をさせて欲しい。

 

Books&Bedsに到着したとき、失意のどん底にいた。仕事がうまくいってなかったからだ。グーグルに聞けば答えてくれるはずだ。「OKグーグル、失意のどん底とは?」

「それは、あなたが私に話をする余裕がない状況のことです。話しかけたとしても、OKグーグル、って、全然OKじゃねえよと言うのが精一杯でしょう。」

今はつまらない冗談を言えるほどに回復した。

 

ゲストハウスと言えば、かなり楽しい場所だ。部屋着で女性がウロウロしているんだぜ。制服が見たい場合は高校へ、エプロン姿が見たい場合はABCクッキング、部屋着と言えばゲストハウス、そんな感じです。

 

楽しい場所にいたにも関わらず、人とあまり喋れなかった。一緒にご飯を食べてくれる友達もいたが、僕は終始イライラしていた。気持ちを隠す努力はしていたが、雰囲気に溢れ出ていたことだろう。木漏れ日のように。申し訳ない。

 

しかし、そのような精神状態の中でも、友達ができた。僕と友達になってくれる人はいるのだ。

彼女の名前はH。フィリピン人のような名前だ。どの名前がマレーシア人で、どの名前がフィリピン人かよくわからないけれど。名前に国境はない?

Hは、僕のパソコンの画面を見てこう言った。「わぁ、あなたは日本人なの!タイ人かと思った!」

よく言われる。自慢ではないが、10人中8人は僕を外国人だと勘違いする。フィリピンには2ヶ月近くいたけど、1回も日本人だと言われたことはなかった。マレーシアから日本に帰る際には、CAさんにずっと英語で質問された。日本語で答えたら次から日本語対応になったのは良い思い出だ。

そんなわけで、Hは僕に言ったのだ。「わぁ、あなたは日本人なの!」

 

Hとは1回、朝の散歩に出掛けた。彼女はワイヤレスイヤホンを落とした。30分くらい一緒に探したけど見つからなかった。彼女は言った。「It’s Okay!!」

Hは前向きなのだ。

 

Hはお喋りで、色んな話をしてくれた。音楽の勉強をしていること、友達がいるからBooks&Bedsに来たこと、家族はムスリムだけど彼女はムスリムではないこと、実にたくさん話した。

Hの話が理解できないときにはYesと答えた。それが英会話だ。そして彼女は、病気持ちだった。たくさんの持病があり、複数の病院に通院している。それとは関係なく、彼女は共用スペースで寝ていた。同部屋の友人に気を遣っているらしい。Books&Bedsは複雑なのだ。

 

ある朝、僕はHと会話していた。会話の最中、彼女は冷却スプレーをブランケットに振りかけて鼻に当てていた。「何してるん?」

彼女は答えた。「コレ吸ってたら気持ち良いの」

おいおいおい。中尾彬もビックリだ。相槌を打つことしかできなかった。

もう手遅れなのだ。僕がなんと言おうと、彼女は冷却スプレーを吸い続けるだろう。たぶん。一生。

冷却スプレーを吸っている人を見たら、どういうリアクションしますか?

 

僕は言った。「僕もやってみて良い?」

「本当に!?やってみる??」

キラキラ輝く彼女の目は忘れられない。

彼女は冷却スプレーの楽しみ方をレクチャーしてくれた。ブランケットに思いっきり振りかけて、脳に行き渡るくらいに思いっきり吸い込む。試してみるとすぐにむせた。当たり前だ。

ホントはお酒で酔っ払いたいらしい。現実逃避をしたいらしい。辛い思いをしているのだろう。でもマレーシアではお酒が高いので、冷却スプレーがベストだと言っていた。ベスト・チョイス。

 

その会話をした翌日に、HはBooks&Bedsを去った。

冷却スプレーでイク人をネットで検索してみたが、見つからなかった。彼女は唯一無二の現実逃避の方法を見つけたのだ。コングラッチュレーション。

 

好き勝手に文章を書いたが、僕はBooks&Bedsを気に入っている。Books&Bedsにいたときには1ヶ月で4万円しか使わなかった。便利で楽しい。また行きたい。それがBooks&Bedsだ。

HとBooks&Bedsで出会ったみんなが元気でいることを願う。

 

ペタリン・ジャヤ ローカル情報
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この記事を書いた人
村川春吉

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