標高1,000メートル超え。四方を山に囲まれて、それらの真ん中のぽこんとしたくぼみにある長野県・南佐久郡・川上村。
「歩いて隣町に行くのはとても大変」な、陸の孤島です。
2015年の9月半ばから10月末にかけて、農業体験に行きました。
そのときの思い出を、何記事かに分けて書いていきます。
今回は、川上村の百姓の労働スタイルです。
ここでは「お百姓さん」のことを、百姓と書いています。
「農家」とか「農家の人」という表記にしようかと思いましたが、僕がステイした先の人は自分の属性のことを「百姓」と言っていました。 それに則り、百姓と記載することにしました。 |
川上村の百姓の働き方が凄い!10月から3月まで休み
お仕事のやり方は色々ですよね。
「ん~、どんな働き方が良いんだろう?」
年に何回かは考えます。
未だに答えは見つからないし、答えがある必要もないと思います。
川上村の百姓の生活スタイルは、なかなか面白いので、参考にして下さいね。
川上村は農業の村
川上村に足を運んでまず思ったのは、「なんじゃこら!」です。
広大な敷地で、周りは全部山。
列車や車で隣の町や村に移動できるものの、距離が離れているし、どこに行くにもひと山超えないと移動できません。
まさに、陸の孤島です。

川上郷観光案内図
農地が多く、農業と公務員しか仕事はねぇんじゃねーの、という感じの村です。
人口は約4,000人でその内の約6割が農業従事者です。多い!
家に住んでいる人は、トラックやらトラクターやらを持っていて、「さぁ仕事!」となると自分の田畑に移動して仕事を始めます。
もっとも最近は、朝起きて、車に乗り、佐久や山梨まで「勤め」しに行く人も増えているようですが・・。
田畑はめちゃでかいです。僕がお世話になったところは、サッカー場3~5面分くらいは広さがあったかも。
主要農産物はレタスで、長野県は全国で圧倒的1位のレタス出荷量なのですが、そのうちの半分は川上村のものです。
伊丹市のスーパーでも川上のレタスが売られていました。
白菜も多く、それ以外だと長いもやブロッコリーが採れます。
とにかく、川上村は農業村です。

見渡す限り畑と山!
川上村の百姓の年間スケジュール
- 労働時期:4月~10月
- お休み時期:11月~3月
家によっては3月スタート!など働き始めや終わりの時期は前後しますが、どこもだいたい春~秋にかけて仕事をします。
春・夏は早朝から仕事をして、10月の終わりに雪が降りだすと、閉店ガラガラ。
お休みの時期は、旅行やスキーなど遊びに行く人もいれば、トラックの運転手など副業する人もいるとのことです。
年収は2千万円?などとネットで出ていますが、実際はどうなんでしょうね。
僕の予想では、1人の年収じゃなくて、そのお家(家族4人なら4人)の年収が2千万円やそこらの数値なんじゃないかな~と思っています。
それにしても、7ヶ月ほどの働きで、それだけ収入があるのは良いですよね!
農業は、トラックだったりトラクターだったり、水やりの機械だったり、出荷用の段ボールだったりと、結構お金の掛かる仕事です。
なので、借金抱えてやっている人も多いそう。
「若い人はお金ない人も結構いるよ」という話でした。
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年間の仕事のやり方はイメージできましたか? 良いですよね。長期休暇! 冬の寒いお休み期間は、暖かくて、物価の低い国で過ごす!なんてライフスタイルも面白そう。 そんなことを考えるとワクワクします。 |
年間の働き方はイメージできましたか?
次は、各シーズンごとの働き方をもうちょっと細かく見ていきます。
春夏は早寝早起き!
外が明るくなり始めたら、早朝から仕事が始まります。
春のまだ慣れないうちは「6時起きくらい」とのことですが、5月の終わりととかになって暑くなり始めたら、エンジンがかかります。
そして、レタスや白菜の出荷が始まりだすと、「2時すぎに起きて4時には仕事が始まる」とのことです。
お仕事は、昼の14時とか16時とかまであるようです。
もちろんその間に休憩はあります。水分補給したり、軽食を食べたりします。ランチのあとには昼寝をする時間もあります。
この時期の仕事の内容は、畑を耕す、種を撒く、出荷する、などです。
夏の終わりから秋はスタートが遅い
夏の忙しい出荷の時期が過ぎたら、起きるのが遅くなります。
6時に起きて朝ごはんを食べて、7時仕事開始になります。
広大な土地から野菜を採って、段ボールに詰めて、トラックに詰めます。
12時までに2回ほど休憩して、JAに野菜を届けて、お昼ごはんです。
ランチの後はお昼寝です。
13時から17時頃までまたお仕事。
出荷の準備や、冬の休みに向けて畑を閉じたりしていきます。
土地も広いので、毎日なんやかんやでやることがあります。
雨がひどいときは、仕事しないときもあります。
冬はやることが家によってバラバラ
冬は農業ができません。雪山なので。
頭の方で話したように、スキーや旅行遊びをしたり、スキーインストラクターやトラックの運転手の仕事をしたりする人もいます。
家によってバラバラですね。
川上村は雪の降る地域です。11月には既に降っています。
よそから車で来た人は、「スパイクタイヤじゃなくて事故ってる!」というのが毎年何件かあるそうなのでお気をつけて!
追伸:農業人口減少問題と健康問題
川上村の百姓はこのように、「独特の働き方」をしています。
ですが、川上村には川上村の問題があります。
僕の中で、これは「問題だなぁ」と感じたことを2つピックアップします。
よそ者から見た川上村の2つの問題
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1.農業人口減少問題
川上村の農業人口従事者は毎年減っています。
お仕事シーズンは、中国や東南アジアの若者が研修に来てお手伝いをしに来て、毎年の農業は成り立っています。
その証拠に、道路に出ると、外国の方が自転車に乗っている人をよく見ます。
が、今先頭に立って頑張っている人が引退し、後継ぎがいない場合、あの広大な土地はどうなるんでしょう?
実際に、「もう既に農業を閉じた家の土地」はどうなっているんでしょう?
川上村の百姓さんに今度聞いてみます。
2.健康問題
農業はハードワークです。
みんな「腰が痛い」だの「膝が痛い」だの話している印象でした。
あれだけ広い土地を、重いものを持って動くとなりゃ、そうなりますよね。(白菜5個入りの段ボールは重いです)
人間の体の耐性以上のお仕事だと思います。
お世話になった百姓さんも「腰が痛くて2か月以上入院してる」と話していて心配でした。
「都会で仕事している人は心の病気になるし、川上の人は身体壊すよね」なんて冗談を話していたのですが、冗談で終われない話題だとも思います。
今の時代を生きる人は、どこかで無理をしないと生きていけないよね。
大変だ。
まとめ
川上村の百姓の働き方を見ました。
独特の働き方がナイスですね。
川上村は、夏は涼しいし、土地は綺麗だし、良いところです。
八ヶ岳のパワーがぐいぐい伝わってきます。
関西は、どこへ行っても似たような景色が広がっていますよね。171号線沿いとか。
そんなところで普段生活している中、川上村の独特な景色を見ると胸を打たれます。
夏の間だけ川上村に住みたいなぁ。
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